広島刑務所をたずねて
昨年の暮れ、大阪教区社会福祉推進協議会(本願寺の福祉関係の集まり)の研修会で、広島刑務所をたずねるご縁をいただきました。
高い塀、そして鉄の扉を入ると、なんとも言えない緊張感に包まれました。案内されて一番感心させられたのは、整理整頓された所内。運動場にさえ、チリ1つ落ちていない清潔さでした。施設長さんはじめ職員の方々のご指導とご苦労がしのばれると共に、収容者の皆さんの日々がわかるような気がいたしました。
この収容所は、年齢26歳以上の男子で、執行刑期が8年未満の犯罪傾向がすすんでいる者および治療を必要とする身体疾患者を収容しているとのことです。現在800人余りが収容され、社会と隔絶された生活をしています。13の生産工場があり、主に木工・金属関係の作業をしながら技能的なことを学び、社会復帰に必要な資格・免許の取得が計られています。
もちろん個人の人間性を尊重し、そのよい面を最大限に伸ばすことにより、自ら立ち直るようにいろいろな教化活動も行われているようです。しかし、塀の外の無限の自由に比べ、中では身体的自由が制限され、強制労役が課せられている毎日の生活は、大変な苦労であると思います。
仏さまの無限の願いはすべての人にそそがれています。この願いに早く目覚めるように働きかけてくださっているのです。苦しみや悲しみの中で、この願いに気づかされたとき、はじめて「はずかしい自分」が見えてくるのではないでしょうか。
そんなことを思い願いながら、刑務所を後にしました。またひとつ、今まで知らなかった世界を見せていただくと共に、み教えを味わうよきご縁でありました。